もっとノッていただきたかった話【鑑賞「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」】

主要キャラクターの魅力で乗り切った感じの作品。でも…もっとうまくできたんじゃないかなぁ。

何者かによって宇宙にさらわれた地球の少年、ピーター・クイル。成長した彼は宇宙をかけるとレジャーハンターになっていた。彼は謎の球体「オーブ」を盗み出したのを機にアライグマ型クリーチャー・ロケットと樹木型ヒューマノイド・グルートの賞金稼ぎペア、さらに謎の暗殺者ガモーラに襲われ、彼ら共々宇宙刑務所に投獄される。「オーブ」の正体を知るべく、4人は刑務所一凶暴な囚人・ドラックスと組み脱獄。「オーブ」の秘密を知った5人は銀河を滅亡させようとする闇の存在と闘うことに…という話。

残念だったのは主人公・ピーターにもう一つ感情移入できなかった点。母が死んだ直後に宇宙人にさらわれる、というオープニングから一気に26年後、母の形見のミックステープを聴きながら軽〜い感じでお宝探しという現在に飛んでしまう。大人になった性格もどっちかというと「イイやつ」。でも両親がいないからってそんなに異世界になじんじゃうわけ?

その分、他の4人は話の合間合間に自身の経歴や思いが分かってくるので、感情移入は比較的しやすい。とくにドラックスは感情移入しやすいキャラクターで、今思い出すと、話を引っ張っていたのは彼ではないかという気もしないではない。中盤で敵の親玉と一戦交え敗れるけど終盤で再挑戦、という役なので。

何より5人ともそんなに「ダメ」でもなければ「悪党」でもない…と書いてきて、日本の漫画「OnePiece」にキャラクターの雰囲気が似てる気がしてきたぞ。普段はボンクラでチグハグだけどここ一番では決める。メンバーに動物がいるのまで一緒やんけ。

そんな連中がクライマックスで手をつなぐ場面。ここはちょっとグッときましたね。会話でなく行動で「仲間」になったのがいい。劇中頻繁に流れる70年代〜80年代ヒット曲も最後でようやくはまった気がする。ラスト2曲の選曲は良かったですね。あと脇役ですが、ピーターの育ての親・盗賊ヨンドゥもいい味を出していました。

先述したピーターに感情移入しにくかった面は、(制作決定している)次作に持ち越しのよう。第1部としては平均点って感じかなぁ。主要キャラの説明はもう終わったのだから次回作は(ドラックス以外の)内面をもっと描いてほしいものです。

こだわりをさらけ出したくなった話【Zineと本のおはなし】

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ちょっと日が経ってしまいましたが、宮崎市の喫茶店「Quantum」であったトークイベント「Zineと本のおはなし」に行ってきたのでその感想を。

会場は約30人くらい集まり、雨だったけどかなりの熱気。手作り雑誌「Zine」の販売イベント「Zine It!」を主宰してきたゴトウさん、活版印刷をしている「はなうた活版堂」の脇川さん、古書店「キママブックス」を営むクドウさんの三人がZineについて語るというイベント。ゴトウさんが持ってきたZineを会場で回し読みしながら、Zineの魅力を再確認するイベントでした。

印象に残ったのは「全員に好かれようとせず、自分の好きなモノにこだわれば、10人くらい好きな人はいる」というゴトウさんの言葉。デザインに無関係な人がつくったZineのほうが面白い、本っぽくなるとつまらない、ってのもポイントだったかも。 脇川さんの店に都城の主婦が市内を紹介する自作のZineを持ち込んできたというスゴイ話も聞けました。

スピーカー3人がデザインや印刷のプロってことで雑誌のデザインだけでなく紙質にも気を配っていたのも興味深かった。自分で一から作るんだから、紙からこだわれることもできるんだよなぁ。

その一方で「セブンイレブンのネットプリントでもZineは作れる」というヒントももらえ、何だかますますZineに興味が出てきたのでした。

次回「Zine It!」は12月だそうですよ。

芸術の意地を感じた話【鑑賞@みやざきアートセンター】

みやざきアートセンターで9月28日まで開催中の2つの展示会「Wonder Art Space」「オオウチハジメ氏を探す旅展」を見てきました。

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「Wonder Art Space」は県内出身/在住の作家たち6組の作品展。思ったよりバラエティにとんだ内容で、チャーミングな作品や生々しい作品、「でかっ!」という絵画や造形、「ちっちゃ!」という人形など楽しめました。

IMG_1557「オオウチハジメ氏を探す旅展」は「オカザえもん」をデザインした現代作家・斉と公平太による展示。某海外有名アーティストのCDジャケット裏面で見つけた、目に錯覚を生じさせる効果「錯視」のデザインの一つを作った「オオウチハジメ氏」と出逢うまでの捜索の記録。壁にずらりとヘタウマ漫画を貼って錯視の紹介、捜索の過程を伝えつつ、関連本や写真、メモも無造作に置いている。中央にはオオウチ氏を見つけるきっかけになった(?)オブジェもどーんと展示され、まじめと脱力、虚実入り交じった旅路が楽しめる。

会場となった「みやざきアートセンター」での過去の主な展覧会が「ムーミン」「スヌーピー」「山本二三」など“キャラの立った”ラインナップだったのをふまえた上で、錯視に詳しい関係者の間でも知られていなかった無名人「オオウチハジメ」をテーマにしているのも興味深かった。

で、そんな斉と公平太の展覧会にアートセンター側がぶつけてきたのが県内作家たちの作品展、と。作家たちの意図もさることながら、主催者側の姿勢も感じさせる場になっておりました。2展とも入場無料なので是非。

【おまけ】

「オオウチハジメ氏を探す旅展」より。真ん中のコマ。うっかり忘れがちなことだなと思ったので貼っておきます。

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消えたあの人が偉大だった話【鑑賞 トランスフォーマー/ロストエイジ】

エピローグでようやく「次回はこれまでと違う展開になるのか?」と思わせる、「シリーズ再構築ってことらしかったけど大して変わってなかったやん」な一作。むしろ、前3作から失われたものの大きさにも気付いてしまいました。

前作「ダークサイド・ムーン」で描かれたシカゴでのトランスフォーマーたちの闘いから3年。オプティマス・プライムら正義のオートボットたちは人類から敵視されるようになり、姿を潜ませていた。いっぽうCIAは謎の大企業や第3勢力のトランスフォーマー、ロックダウンと共謀し秘密の計画を企てていた。身を隠していたオプティマス・プライムは一人娘と暮らす貧乏な発明家のケイドに買われ、再起を図る。が、CIAの「オートボット狩り」の手が迫る…

パンフレットによると前作までの監督マイケル・ベイは3作までで降板するつもりだったがスタジオ側がシリーズ続行を決定したことで結局再登板したそう。なので今作では第3作まで登場していた人間側のキャラクターを一新、シリーズ再構築のような雰囲気になっている。

…なのに人間たちに全く魅力がないのはなんででしょう。いや、もともと旧3作に出てくる人間たちも大して魅力はありませんでしたよ。でもねぇ。

旧3作、見ている間は「見たいのはオプティマス・プライム様だから人間キャラなんかどうでもいいわい」と思っていたけれど、いざいなくなるとその存在の大きさに気付いたのです。とくに主人公の「サム」ですね。

とくに第1作で顕著だったわけですが、サムは自分が買った車が突然変形する機械生命だったのに驚き、そしてその機械生命・バンブルビーと友情を深めていく。サムは我々観客とトランスフォーマーたちを結ぶ存在として機能していた。

でも彼が登場しない今作では、正義のトランスフォーマー「オートボット」たちと人間たちの交流が印象に残らなかった。クライマックスでの「共闘」はあったけどね。サムが消えたせいか、バンブルビーも何だかやんちゃなだけのキャラクターになっていて、前作までで見せていた「かわいさ」がなくなった。俺の知ってるバンちゃんはどこにいったんだぁ!

「悪」の側の人間とトランスフォーマーが共謀するなど今作から取り入れた設定上の新機軸もある。でも基本的な構成は前3作とまだ同じ。トランスフォーマーたちがドンパチやっている真下で、人間たちが、自分たちが持てるサイズのものを持って右往左往する。前作が2時間半、今作が2時間45分(!)だったけど、正直長過ぎた。その割りに第3勢力「ロックダウン」の正体もよく分からなかったし、恐竜に変身するトランスフォーマー「ダイノボット」たちも終盤突如現れるので説明不足だし。

で、エピローグですよ。オプティマス・プライムが決着を付けるべく旅立っていくんですが、そんなことができるならその能力、もっと早いうちから使えばよかったんじゃないの?と思わずにはいられません。第2作で同じようなシーンを見た時には気持ちがアガッたんだけどなぁ。

これまで以上に明らかに次を意識した終わり方だったし、本当に次回作がこの話を受け継ぐ形で描かれるなら、作品世界がいよいよ広まるのは間違いないんだけど、そうなると今作以上に話が訳分からなくなりそうな気も。シリーズを続ける限界も見えてきた気がしますが、果たして。

ニュースは自分で集めたい?話

どうなんでしょう、スマートフォン向けのニュースアプリって。

これまでいくつか、インストールしてきたんですが、正直「これだ!」というサービスはない感じ。

最初に入れたのは「Antenna」。インターフェースが斬新だったけど、どこまで下にスクロールすれば終わりがあるのか分からず、きりがない感じがして見るのがおっくうになりました。

その後入れたのが「SmartNews」と「Gunosy」。両者とも興味のある配信先を「チャンネル」として登録できるが、どちらもサービスは似た感じで大差がない。何よりおすすめニュースに個人ブログやツイッター、匿名掲示板の発言まとめサイトが入ってくるのが馬鹿にされているようでげんなりする。読んで得をした、知的な刺激を受けたぜ、ってな気分にさせてほしいんですよ。

ならば登録チャンネルを新聞などの「固い」もの中心にしたら…購読している新聞と大差ない(当たり前だが)。むしろ情報量なら紙の新聞の方が多い。

結局、これら3本のアプリは削除してしまいました。

NewsPicks」はまだiPhoneの中に入っています。1日1度は見ますが、このサービスの売りである「ユーザーのコメント」がいまいち。鋭い指摘もありますが、著名人でもぶっきらぼうに言いっぱなしなコメントだったり、ホントに個人の感想でしかなかったり。「NewsPicks」を持ち上げるコメントをするユーザーもいて、まるで二昔前のパソコン通信の様で…。経済中心のニュースが集まる、というふれこみなのですが、正直そうでないニュースも混じってたりもする。

こういったニュースアプリ以外にも「キュレーションサイト」と称するサービスもありますが、他社の記事を無断で翻訳、転載してたとかいう話を聞くと、ネットでニュースを集めるのって人任せにできん気がしています。なので結局、ネットで自分好みのニュースを集めるにはRSSリーダーしかないと思う今日この頃。

…なのですが、今月始まった日経ニュースアプリ「Niid」はちょっといいかも。日経の記事の再利用サービスなのですが、本数も手頃、内容はしっかり読み応えがあり、見せ方もうまい。

カテゴリは「ビジネス戦略ナビ」「ヒット&トレンド」「知りたい!アジア」「英語で聴くNIKKEI」。

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カテゴリを選ぶとその日配信分のテーマが表示されて、

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記事を選ぶと下に「ざっくり言うと」的な表記も。でもこれ「中見出し」と呼ぶ方が正確ですね。

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上に引き上げていくと3本の見出しが合間に挟まるように記事が表示される。この滑らかな表示が気持ちいい。

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英語はまだ聴いていないんだけど、かなり興味がある。時間がある時に聴いてみたい。

将来は有料化も考えているということだけど、これなら払ってもいいかな…。

地方からスマートに発信する話【感想:GNJ2014】

これまでのこのイベントの模様についてブログなどの形であまりネットにあがっていないようなのが不思議なのだけど…。

P1000419鹿児島県南九州市「かわなべ森の学校」で8月23日にあった「グッドネイバーズジャンボリー2014」に行ってみましたのでその感想を。

P1000403-2今年で5回目というこのイベント、知ったのは一昨年だったのだけどその時は開催直前で都合が付かず、昨年はチケットを買ったのだけど直前になってやはり都合が悪くなり…となかなか行く機会に恵まれなかった。今年はバッジ付きの特別前売り券を買って、満を持しての参加でありました。

会場は廃校になった小学校。シンボルのクスノキにはこの日のためにツリーハウスが作られ、その下で編集者やクリエーターたちのトークショー。ステージイベントやワークショップ、映画の上映、地元の店からの出店など盛りだくさんの内容でした。

昼過ぎに会場に着いたのだけど、さっと場内を見て回り、食事をして、ワークショップにいくつか参加して、休憩がてらステージでのライブを見ていたら盛り上がっちゃってあっという間に夜でした(苦笑)。夜は音楽メーンになるけれど、明るいうちは様々な催しがあって飽きませんね。廃校になった小学校という会場の雰囲気もあって気分よく一日を過ごせました。

この楽しみを今すぐネットで伝えたい!とおもったのだけど、このイベント唯一の難点が(NTTdocomoの)電波状態が悪かったこと。他のキャリアなら良かったのかなー。まぁでもこんな緑豊かな山の中のイベントなので電波が入らないのもまた良し、かなー。

P1000521このイベントでとくに記しておきたいのは地元川辺町の取り組みに従ったきっちりとしたゴミの分別。プラスチックは水で洗い、拭いて(!)、容器など柔らかいものとフォークなど固いものに分ける(!)念の入れよう。ここでスタッフの人とちょっと会話ができたりするのも面白い体験。普通のゴミステーションならただ黙って捨てるだけだからね。

そして全部見たわけではないけれど、ステージイベントで最高だったのは鹿児島市の障害者施設「しょうぶ学園」の人たちでつくる「otto & orabu(おっと&おらぶ)」。民族楽器中心のパーカッショングループottoと叫びのヴォイスグループorabu (鹿児島弁で「叫ぶ」の意味)のあまりに前衛的なパフォーマンスは、個人的に持っていた「エイブルアート」の概念をぶちこわされた。帰宅してから会場でCDを先行発売していたことを知って愕然。買っときゃよかった!

聞いて食べて体験して。地方からでもスマートな情報発信はできると再確認したイベントでした。