消えたあの人が偉大だった話【鑑賞 トランスフォーマー/ロストエイジ】

エピローグでようやく「次回はこれまでと違う展開になるのか?」と思わせる、「シリーズ再構築ってことらしかったけど大して変わってなかったやん」な一作。むしろ、前3作から失われたものの大きさにも気付いてしまいました。

前作「ダークサイド・ムーン」で描かれたシカゴでのトランスフォーマーたちの闘いから3年。オプティマス・プライムら正義のオートボットたちは人類から敵視されるようになり、姿を潜ませていた。いっぽうCIAは謎の大企業や第3勢力のトランスフォーマー、ロックダウンと共謀し秘密の計画を企てていた。身を隠していたオプティマス・プライムは一人娘と暮らす貧乏な発明家のケイドに買われ、再起を図る。が、CIAの「オートボット狩り」の手が迫る…

パンフレットによると前作までの監督マイケル・ベイは3作までで降板するつもりだったがスタジオ側がシリーズ続行を決定したことで結局再登板したそう。なので今作では第3作まで登場していた人間側のキャラクターを一新、シリーズ再構築のような雰囲気になっている。

…なのに人間たちに全く魅力がないのはなんででしょう。いや、もともと旧3作に出てくる人間たちも大して魅力はありませんでしたよ。でもねぇ。

旧3作、見ている間は「見たいのはオプティマス・プライム様だから人間キャラなんかどうでもいいわい」と思っていたけれど、いざいなくなるとその存在の大きさに気付いたのです。とくに主人公の「サム」ですね。

とくに第1作で顕著だったわけですが、サムは自分が買った車が突然変形する機械生命だったのに驚き、そしてその機械生命・バンブルビーと友情を深めていく。サムは我々観客とトランスフォーマーたちを結ぶ存在として機能していた。

でも彼が登場しない今作では、正義のトランスフォーマー「オートボット」たちと人間たちの交流が印象に残らなかった。クライマックスでの「共闘」はあったけどね。サムが消えたせいか、バンブルビーも何だかやんちゃなだけのキャラクターになっていて、前作までで見せていた「かわいさ」がなくなった。俺の知ってるバンちゃんはどこにいったんだぁ!

「悪」の側の人間とトランスフォーマーが共謀するなど今作から取り入れた設定上の新機軸もある。でも基本的な構成は前3作とまだ同じ。トランスフォーマーたちがドンパチやっている真下で、人間たちが、自分たちが持てるサイズのものを持って右往左往する。前作が2時間半、今作が2時間45分(!)だったけど、正直長過ぎた。その割りに第3勢力「ロックダウン」の正体もよく分からなかったし、恐竜に変身するトランスフォーマー「ダイノボット」たちも終盤突如現れるので説明不足だし。

で、エピローグですよ。オプティマス・プライムが決着を付けるべく旅立っていくんですが、そんなことができるならその能力、もっと早いうちから使えばよかったんじゃないの?と思わずにはいられません。第2作で同じようなシーンを見た時には気持ちがアガッたんだけどなぁ。

これまで以上に明らかに次を意識した終わり方だったし、本当に次回作がこの話を受け継ぐ形で描かれるなら、作品世界がいよいよ広まるのは間違いないんだけど、そうなると今作以上に話が訳分からなくなりそうな気も。シリーズを続ける限界も見えてきた気がしますが、果たして。