何でもありだが軸はある話【鑑賞「バーフバリ 王の凱旋」】

バッカじゃないの?と画面にツッコミながらも胸が熱くなる、映画の醍醐味を堪能しました。

【作品紹介】
インド映画史上歴代最高興収を達成、日本でも限定公開ながら噂が噂を呼び異例のロングラン・ヒットを記録、多くのファンを熱狂させた驚異のアクション・エンタテインメント「バーフバリ 伝説誕生」。その待望の続編にして完結編、それが「バーフバリ 王の凱旋」だ。公開以来、インド国内興収歴代1位をはじめ前作のすべての記録を塗り替え現在も記録更新中、今も全世界で旋風を巻き起こしている話題作である。
古代インドの神話的叙事詩「マハーバーラタ」をベースに創造された神話的世界。数奇な運命に導かれた伝説の戦士バーフバリ。宇宙最強の愛と復讐が、ここに想像をはるかに超えた興奮と感動のフィナーレを迎える!

公式サイトより)

近くの映画館では前編「伝説誕生」と同時上映もしていたのだけど、いざ観に行こうとしたらこの完結編だけの上映にスケジュールが変わってた。完結編の前に前編のダイジェスト版が上映されるとはいえ、全体を見る機会を逃したな…と思っていたらデジタル配信が始まっているじゃありませんか。iTunesStoreとAppleTVが役に立ちましたよ。配給会社も考えてますねー。

偉大な人物の息子も偉大かというと…いや、そこをツッコムのは野暮なのだ!

インド映画は「ムトゥ 踊るマハラジャ」くらいしか知りません。ムサいおっさんの主人公が必要以上に歌って踊るコテコテ感が印象に残ってました。今作も主人公はクドい。しかしヒゲ面のおっさんがなぜ主役を張れるのか、という点を乗り越えてしまえば、あとはめくるめくなんでもありの幻想世界。主人公バーフバリを讃える歌は冒頭から最後までことあるたびに流れまくり、ことあるたびにスローモーションでキメにかかるので「シヴァ神がついているバーフバリは何でもできるのだ!『んなことできるわけねーだろ』と突っ込むお前ら観客がむしろ間違っているのだ!」と何度も説得されます。

まぁ前編「伝説誕生」を見て臨んだのでこの作品への免疫はついている、はずだったのだが今作冒頭、バーフバリの登場する場面はやっぱり大爆笑(&心の中で大拍手)。「だから一人でXX(自主規制)できるわけねーだろ!」とツッコミつつ「来た来た!待ってました!」という感じです。

とまぁアクションの奇抜さとケレン味のくどさがこの映画の見所ではあるんだけど、ストーリー自体は決して奇抜ではない。前編で国を守った知的で力強い女王が、今作では色々と間違った判断をし悲劇につながるのだけど、そこに説得力がある。キャラクターの行動にツッコミを入れたくなることはないのです。オーバーでクドいアクション描写にだけツッコミを入れたくなるのです。ツッコミつつ拍手を送ってしまうのです。「何でもあり」の基準がしっかりあるんですよね。

惜しむらくはこの作品、国際版だったこと。インド国内版は前後編とも国際版より30分ほど長いらしい。一度見てしまうとどうしても国内版が見たくなる。前編同様、今作ももうすぐソフト化されるのだけど、完全版のリリースも期待したいぞ。エンターテイメントってこういうことだよなぁ。