それでもなお、という話【鑑賞「メッセージ」】

空想科学の楽しさの先に人間を深く洞察した高度な一本でした。観客の理解力も問われるなー。

【イントロダクション】
SF映画の金字塔『ブレードランナー』の続編の監督に抜擢されたことでも注目のドゥニ・ヴィルヌーヴ。彼の最新作『メッセージ』は、優れたSF作品に贈られるネビュラ賞を受賞したアメリカ人作家テッド・チャンによる小説「あなたの人生の物語」を原作に映画化された、全く新しいSF映画。謎の知的生命体と意志の疎通をはかろうとする言語学者のルイーズ役には、『アメリカン・ハッスル』を含め5度アカデミー賞にノミネートされたエイミー・アダムス。彼女とチームを組む物理学者イアンには『ハート・ロッカー』など2度アカデミー賞にノミネートされたジェレミー・レナー。軍のウェバー大佐役には『ラストキング・オブ・スコットランド』の演技でアカデミー賞主演男優賞を受賞したフォレスト・ウィテカーが扮している。
【ストーリー】
突如地上に降り立った、巨大な球体型宇宙船。謎の知的生命体と意志の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、“彼ら”が人類に<何>を伝えようとしているのかを探っていく。その謎を知ったルイーズを待ち受ける、美しくそして残酷な切なさを秘めた人類へのラストメッセージとは―。

公式サイトより)

前半で描かれる宇宙船との接触までの流れが非常に素晴らしい。軍人が学者に会いに来て現場に連れて行かれるというよくある展開なんだけど緊張感を十分に保ち、画面に現れる宇宙船のファースト・ショットがただただ美しい。

読み応えあるパンフレットでした。

鑑賞しながらジョディ・フォスターが科学者を演じた映画「コンタクト」を思い出しましたが、今作も「コンタクト」に似て、話を混ぜかえす分からず屋の「悪役」がいないのも良い。存在するだけの巨大宇宙船を前に高ぶってしまう人や国は出てくるけど、その程度。全員がその場その場で真剣に事態に向き合っているのがいいですね。「コンタクト」では日本がカギを握りましたが今作ではそれが中国なのは時代ですかねw。

本作のテーマに触れるとネタバレになってしまうので、感想を書くのは極めて難しい。ただ(未読ですが)この映画の原作が「あなたの人生の物語」と名付けられているのだけは知っていました。本作を見て原作がそう名付けられた理由がわかった瞬間はあまりの切なさにちょっと鳥肌。そして今作を見ている自分自身が、主人公・ルイーズが見てきたものを体感していたと気づいて驚嘆。

テーマに触れた時の悲しみ、切なさ、そして主人公・ルイーズのように生きられるか(生きてほしい)、というこの作品からの問いかけ(メッセージ)は見終わってもずっと残るでしょう。

まだ1回しか見ていないのだけど、また見返したら、かなり泣けるだろうなぁ。