彼らもみんな生きている話【鑑賞「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」】

「スター・ウォーズ」初の外伝的作品。やはりエピソード4を見たくなる作品でした。

【作品紹介】
ジョージ・ルーカスのアイデアから誕生した、初めて描かれるキャラクターたちによる、新たな世界を描いたもうひとつの「スター・ウォーズ」。シリーズ最初に公開された「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」でレイア姫がR2-D2に託した、帝国軍の宇宙要塞“デス・スター”の設計図。反乱軍はいかにして、この究極兵器の設計図を帝国軍から盗み出したのか?初めて描かれるキャラクターたちが繰り広げる新たな物語によって、スター・ウォーズの世界はさらにドラマティックに進化する!

【ストーリー】
舞台は『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の少し前。銀河全体を脅かす帝国軍の究極の兵器<デス・スター>。無法者たちによる反乱軍の極秘チーム<ロ―グ・ワン>に加わった女戦士ジン・アーソは、様々な葛藤を抱えながら不可能なミッションに立ち向かう。その運命のカギは、天才科学者であり、何年も行方不明になっている彼女の父に隠されていた…。

公式サイトより)

「スター・トレック ビヨンド」を見たときに感じた「スター・ウォーズ 話が重くなってないか疑惑」。予想通りでした。エピソード4に繋がる話を後から作った以上、今作「ローグ・ワン」に出てくる主要人物は今作でやっぱり退場。エピソード4につなげるため結構無理してる部分もあって首をひねるところもあった。最後にあの人が登場する(CGだそうです)のも唐突感があってですね…。

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地味なのも、また良し、でしょうか。

冒頭の構成もわかりづらい。少女時代のジンが助けられたプロローグの後、次に登場した場面ではまた捕まってまた助けられている。帝国軍から脱走したパイロット・ボーディー、反乱軍のスパイ・キャシアンの話も織り込まれるのでどこが本筋かわかりにくかった。で、見終わって印象に残るのは(主役級の)ジン、キャシアンと中盤からするっと登場する盲目のチアルートだったりする。キャラの印象度とストーリーの重要性がずれているのが惜しいところ。

反乱軍もデス・スターの存在を知って降伏しようとするのはまだ分かるんだけど、最終的な決定は自分たちで下せないくせに「ローグ・ワン」たちが何だか上手く行きそうと知ったら慌てて艦隊を送るという右往左往ぶり。

一番残念だったのは帝国軍がデス・スターを最後にちゃんと使わなかったこと。今作の直後の話であるエピソード4では惑星ひとつぶっ壊している。ちゃんと使うとエピソード4に繋がらなくなるんですよね。作り手の苦肉さが滲み出ていた。じっくり破壊を描けるので悲劇さを強調する利点もありましたがね。

悲劇、と書きましたが、今作は確かに悲劇的要素が強い。これはスター・ウォーズシリーズに不足していた「敵の悪さ、怖さ」を補う効果があったように思う。先述したデス・スターが街や基地を壊す描写、終盤突然登場するスター・デストロイヤーと暴れまわるダースベイダーは怖さの極み。設計図が反乱軍兵士の間で必死に受け渡される様はあまりにもギリギリすぎて漫画っぽいし結果はわかってるんだけどやっぱりハラハラさせられる。

今までも帝国軍に倒される反乱軍の兵士たちは描写されているけれど、劇中の彼らは「その他大勢」扱い。彼らにどんな思いがあったのかなどは語られなかった。今作を見た後では帝国軍に倒された人々の姿が見えてくる。

世界を動かしたのはフォースを持つ言わば「選ばれた人々」かもしれないが「その他大勢」だって懸命に生きている(右往左往もその一部なのかなぁ)ことを感じさせた作品でした。エピソード8では今作に登場した人物にちょっとでも触れてくれると楽しいけれど。チアルートみたいに戦う兵士とか出てきてほしいなぁ。