動き出す物語世界に興味津々な話【鑑賞「スーパーマンvsバットマン」】

アメリカンコミックスの2大レーベルの一つで、スーパーマンやバットマンを持つ「DCコミックス」が、アイアンマンやスパイダーマンなどを持つ「マーベルコミックス」同様、異なるキャラクター間で同じ世界観を持たせるシリーズに本格着手した一本。前作「マン・オブ・スティール」で感じた違和感をかなり解消した、次回作も楽しみな一本でした。

【あらすじ】メトロポリスを舞台に繰り広げられたスーパーマンとゾッド将軍の激戦。多くの一般市民が犠牲になった戦いの現場に、バットマンとしてゴッサムシティの治安を陰ながら守ってきた男、ブルース・ウェインもいた。スーパーマンを危険な存在と判断しスーパーマンの秘密を探り始めるブルース。しかし彼に先んじて政府とも手を組みながらスーパーマンの弱点を突き止めた男がいた。その男の名はレックス・ルーサー。そしてブルースやレックスの間にちらつく謎の美女の正体は…。

新バットマンのベン・アフレックも違和感なかったなぁ
新バットマンのベン・アフレックも違和感なかったなぁ

最初に気になった点を指摘するなら、キャラクターの名称や外観で説明してしまっている箇所が散見されること。「レックス・ルーサー」という名前や、クライマックスで正体を明かす美女の外観でアメコミ読者ならピンとくるんでしょうが、読み慣れてない人には分かりにくいでしょうね。

とくにレックスとブルースは同じ目的で動いているはずなのに共闘しないのがちょっと不自然でさえある。最終的にブルースが拒否したとしてもレックス側からはっきり誘う場面があってもおかしくないので(におわせる場面はあったかな)。

途中でレックスの一味のトラックとバットモービルのカーチェイスもあるんだけど「トラックに発信器つけたんだから追う必要ないよね」という指摘も聞きました。おっしゃるとおりですw。予告編で出てきたシーンが本編では夢の場面だったりして残念だったことも指摘しておきたい。

とはいっても、全般的には結構満足したんです。

まずは前作で感じた「スーパーマンが周囲の地球人無視して戦いすぎ」という違和感をふまえた構成になっていたのが良かった。なのでクライマックス、人間社会に身を投じたスーパーマンがようやく受け入れられた様にちょっとじーんとしちゃうわけです。次回作ではなかったことになるんでしょうけどw。

その最後のスーパーマンの姿は「ダークナイト」クライマックスでのバットマンと二重写しにも見えました(バットマンはあえて敵役を引き受けたんだけど)。

スーパーマンの映画だった前作「マン・オブ・スティール」は「スーパーマンが(イメージに反して)暗い」という欠点があった。同じDCコミックのキャラクターで最近大ヒットしているバットマンの重厚なイメージに寄せていたんでしょうけどね。今作でようやく暗めのスーパーマンでもオッケー(だってバットマンがいる世界だし!)という整合性がとれた気がします。マーベルとの違いも出せるのではないかな。

今作から始まったクロスオーバーシリーズとして「メタヒューマン」たちの存在も提示。ただまぁそのキャラクターたち、日本ではほとんど馴染みがないwので今後しっかり描いてほしい。マーベルはそんなキャラたちも上手に映像化してアメコミに馴染みがない人にも間口を広げてますので。

そういう意味では「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」は、キャラクターをどう描くかについてマーベル側からの最新回答になりますね。「X-メン」も新作が夏に公開されるし、追いかけるシリーズが増えて困ったもんだなこりゃ。

マーベル、DC、X-メンと既存のキャラクターを映像化する手法についてハリウッドは方程式を掴みつつある気がします。日本はどうかなー。