魅力的なのは人間か恐竜か?な話【鑑賞「ジュラシック・ワールド」】

ラプトール!!!!レェェェェックス!!!!(歓喜の叫び)

遺伝子操作で現代に甦った恐竜たちが人間たちを蹂躙する「ジュラシック・パーク」22年ぶりのシリーズ最新作。今回は今まで以上に恐竜の魅力たっぷりの作品になっておりました。

初期のトラブルを乗り越えついに開場した恐竜テーマパーク「ジュラシック・ワールド」。そこでは見物客の興味をさらに引こうと恐竜の遺伝子操作を繰り返し、対人兵器への応用も密かに計画されていた。そんな中、遺伝子操作で生まれた最強恐竜「インドミナス・レックス」が脱走。パークを大混乱に陥れる…!

正直、ツッコミどころは多いです。登場人物に「プロの矜持」を持った者がいないのが何より惜しい。生で見る恐竜にテンションバカ上がりなのになぜか1シーンだけ「パパとママが離婚しちゃうかも…」と泣いている弟グレイ。恐竜には無関心だったのにパークに非常事態がアナウンスされているにも関わらず「おまえ恐竜見たかったんだろ。パークを楽しもうぜ」とコースをそれて恐竜見物を始めインドミナス・レックスに弟ともども襲われる兄ザック。パークの現場責任者ということで通常時は兄弟の扱いを秘書任せにしてたくせに緊急事態になって2人が行方不明になると職場をほっぽりだして探しに行く兄弟の叔母クレア。ラプトルを手なずけつつあったとはいえパークの混乱が収まらないからラプトルを恐竜退治に使おうとすると怒り出す大局観のない、クレアのモトカレで元軍人のオーウェン。

「ジュラシック・ワールド」パンフ
あのテーマ曲も流れて感涙なんだけど、場面とフィットしてないんだよなぁ!

オーウェンくらいかな「恐竜を人間がコントロールするなんてできない」的なことを言ってたのは。それでもオイ!とつっこみたくなったのは上記の場面。オーウェンにラプトル使用を言うのは今作の悪役的立場の人間なんだけど、この場面だけは「こいつの言うことが正しいわ」と思ってしまいました。

人間が管理していた恐竜たちが暴れ出す話なので、ワルい奴ズルい奴ダメな奴はいてもいいけど、プロもいてほしかったのですよ(結局恐竜に負けてしまうとしても)。第1作にはいたんだよねー。

話が進めば進むほど、登場人物のほとんどに魅力を感じなくなっていくのでした。都合良くトランシーバーが通じなかったり、ヘリコプターのパイロットが足りなかったりと不自然な点も多いしなー。

しかしその中で、反比例的に恐竜たちが面白くなってくるのが今作の特徴。インドミナス・レックスが恐竜をただ殺す、という場面は他の恐竜とインドミナス・レックスに一線を引き、インドミナス・レックスを純粋な敵へ仕立て上げる、いい伏線でしたよ。

小型肉食恐竜ヴェロキラプトルに知能があって、人間とも意思の交換ができるかも、という設定は前作で提示されていたもの。それを生かしてラプトルとオーウェン、インドミナス・レックスがぶつかり合うラストバトルも泣ける。

そしてインドミナス・レックスを倒すため解放されるあの恐竜!遺伝子操作の化け物に対峙する「ジ・オリジン」(仮名)!ですよ。大スターが満を持しての登場!中盤ではちらっと姿を見せてただけの演出がここで利く!アオり気味のカメラアングルと相まって非常にアガッてグッとくる名場面!

とこのように、もうクライマックスは完全に恐竜が主役。何なら足下にいる人間たちを2、3人踏んづけてもいいぞとか思ってしまったw。しかしそんなことは起こらず(残念)、パーク内に去っていくラプトルと頂で雄叫びを挙げる「ジ・オリジン」(仮名)に胸を熱くして映画は終わるのでした。

思い返すとこの映画、研究室で恐竜(たぶんラプトル)が誕生するシーンから始まった。なのでラプトルの立場で話を追うと…

人間の都合で生を受け人間と仲間になろうとしていたが真の仲間は誰かを知り、裏切られたとばかりに暴れるがオーウェンだけはやっぱり別…と思っていたけどおいインドミナス・レックス何すんだ貴様ぁ!(以下略)…

と、完全にラプトルが主役。人間は脇役。そう思って見ると倍楽しめるはずですw。

人間も恐竜も本能の赴くままなんだけど、恐竜の方が魅力的なのはなんででしょう~