もてなしの意味を考えた話【鑑賞・上椎葉神楽】

宮崎県北部の山村、椎葉村で夜神楽(上椎葉(かみしいば)神楽)を見てきました。20年ほど前はよく行っていた場所でしたが、最近は高速道やトンネル、橋もできて、宮崎市から約2時間余りで行けるようになっていました。近くなった…!

村中心部近くにある上椎葉ダム
村中心部近くにある上椎葉ダム

上椎葉神楽は村の中心部・観光施設でもある「鶴富屋敷」で催される神楽。「客」として夜神楽を見たのは今回初めてでした。きちんと寸志を出し、婦人会お手製の弁当やそば、猪肉などを食べながら開始から日付が変わる間近まで見物。写真撮影も大丈夫とのことでした。

選挙中だったからか、今年は見物人が少なかったとか…
選挙中だったからか、今年は見物人が少なかったとか…
地元に根付いた舞を堪能…
地元に根付いた舞を堪能…

見ていて感じたのは、神楽はあくまで地元の方々のものであって、本来「客」も地元の方々のこと。我々外部の者はそこにお邪魔している、のだなということでありました。

神楽を舞う子供たちが出てきた途端、見物人が着物の紐を締め直したり、ババ様(←失礼)が「椎葉よいとこ一度はおいで」だの「今踊っている息子にゃ彼女がいない(意訳)」「早いとこ次の神楽をやれ(要約)」だのと、せり歌(即興の歌)を歌って盛り上げる。祝子(ほうりこ・舞い手)も酒が入ったのかちょっと苦笑しながら舞う一幕も。

鬼神の舞いは迫力がありました
鬼神の舞いは迫力がありました

でもそんなのも、神楽が基本、地域の人たちのものだという表れではないかと。観光化されすぎていない素朴さがあったわけで。

とくに東京オリンピック・パラリンピック決定以降、日本の「お・も・て・な・し」がクローズアップされているんじゃないかと思うんだが、もてなしにも、サービスを受ける側(客)が常に上になるサービス、客がサービスを与える側の文化をまず理解する必要があるサービスの2種類あるんだなと思ったのでした。どっちもアリなんだから、どっちも楽しめるようになりたいものです。

大久保のヒノキ。山村文化を体現しているようでした。
大久保のヒノキ。山村文化を体現しているようでした。