関係が創造を生み出す話【書評「POWERS OF TWO 二人で一人の天才」】

様々なエピソードを紹介しながら人間関係と創造力についてまとめ上げた本でした。

【内容紹介(「BOOK」データベースより)】
一人では何もできない。二人なら何でもできる。アップルもグーグルもソニーも、なぜ二人で起業?あらゆるイノベーションは、二人組から生まれる?クリエイティブ・ペアに学ぶ、創造性のシンプルな本質。
【著者について】
ジョシュア・ウルフ・シェンク Joshua WolfShenk
キュレーター、エッセイスト、作家。精神衛生、歴史、現代政治・文化、創造性をテーマに講演・執筆。ニューヨーク・タイムズ、ニューヨーカー、GQなどに寄稿。一般の人々が体験談を語るストーリーテリングのイベント「モス」に立ち上げから関わる。また、心理学から創造性を研究する「アーツ・イン・マインド」を主宰。著書『リンカーン』(明石書店)は、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストの年間ベストブックにノミネートされた。ロサンゼルス在住。

Amazonの著書紹介ページより)

紹介されるペアはポール・マッカートニーとジョン・レノン、投資持ち株会社を経営する著名投資家ウォーレン・バフェットと副会長のチャーリー・マンガー、バスケットボール選手のマジック・ジョンソンとラリー・バード…などなど。振り付け師とダンサーのような役割分担が明確なペアもあれば、一方が影のように公の場では目立たないペア、あるいはライバル関係もペアとして紹介される。

交わると予想以上の変化が起きる、のでしょう。

創造は一人でするもの、という定説に著者は別の見方を示す。「英雄個人ではなく、英雄を生む文化──16世紀のフィレンツェの宮廷、啓蒙時代のロンドンのコーヒーハウス、ピクサーのスタジオ──が主役なのだ」。ペアの誕生(出会い)から互いを理解し、距離を深め、自然と役割分担をするようになる。高め合う関係が最高のパフォーマンスを生む。そのパフォーマンスが生む影響力はペアにも及び、ペアのバランスが崩れることもある。仲違いし、分裂する。しかしペアは壊れても、ペアだった相手のことは心の中で生き続け、影響力を与え続ける。ペアが生む全てがこの本には描かれている。

一方で読み進めるうちに、自分とは縁遠い世界のようにも思えてくる。創造性を発揮してる!って自覚がないのはまだしも「この人と自分はペアだ」と思える人がいないんだなぁ。

でも最後、著者が自身に引き寄せて書いたあとがきがその答えになった。

挑戦するためには、助けを求めよう。
自分より大きな何かに身を委ね、自分より大きな何かに導こうとする内なる流れに身を委ねる。そのような出会いを受け入れよう。
受け入れたら、次は自分の役割を演じる。

自分の創造力を広げる機会は、あなたが持っているのかもしれません。

POWERS OF TWO 二人で一人の天才
ジョシュア・ウルフ・シェンク Joshua Wolf Shenk
英治出版 (2017-04-15)
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