ないはずの絵心を刺激された話【鑑賞「クレパス画と巨匠たち展」】

高鍋町美術館で2017年9月3日まで開催中の「クレパス画と巨匠たち展」を見てきました。株式会社サクラクレパスが所蔵する作品約100点を展示。色々な表現形態に驚かされました。

そもそもクレパスって1925(大正14)年に日本で開発された画材ってことすら知らなんだ。クレヨンのちょっと柔らかい版、程度の認識しかなかった。開発当初は寒い冬でも描きやすい「冬用」、夏の暑さでも溶けない「夏用」があり、冬に夏用を使うとカチカチ夏に冬用を使うとドロドロ、という苦労もあったそうで。でも3年後には統一化に成功し「ほんとのクレパス」と銘うって仕切り直したそうで。こんな解説を見るだけでも「へぇー」ボタンが欲しいところです(古い)。

「クレパス」は商標で一般的にはオイルパステルと呼ぶそうです。

学校の図工の時間ではクレヨンもクレパスも同じような扱いでしかなかった。だからできた絵も大差ないものだった。でもクレパスはクレヨンと違って色を混ぜられる特徴があるのだ(それも知らなかったぞ!)。その結果、会場に展示されているのは油絵に似た「これがクレパス画?」という物が目立つのだ。後日検索してみたらオイルでこすったりペインティングナイフで削ったりとクレパス画の技法にはいろいろある様子。実際に油絵っぽいですね。そういった技法まで学校で学んでたらなー。

そんな中、印象に残ったのは山本鼎「江の浦風景」(1934)。油絵にも似ているが油絵ほど重みがなく軽やかな発色がいい。こんな絵を描いてみたい、と思わされた。

この「自分でも描けないかなー」と思わされるのが本展覧会の特徴。一般的な展覧会では作品世界が別次元すぎて「描いてみたい」とは決して思わない。油絵も描いたことないので画材に馴染みがない。絵を本格的にやる人が使うのが油絵、というイメージ。

しかしクレパスは違う。クレヨンと大差ないもの、という認識(実際は先述の通り違うのだけど)があるので馴染みがある。あの画材でこんな絵が描けるならちょっともう一回…とくすぐられるのだ。脳トレにも効果ありそうだし。

なので、会場の販売コーナーで作品の絵葉書や画集などといっしょにならんでいる「ほんとのクレパス復刻版」や「クレパス誕生90年記念90色セット」(15000円)にむむっ…となったのはここだけの話。今まで気にもとめてなかった「大人の塗り絵」も興味が湧いてきた。「クーピーペンシル」も懐かしい…!と変に刺激されてしまったのでした。基本的な絵の描き方からわかってないので結局買わなかったけど。でも「クーピーペンシル30 カラーオンカラー」はどうしようかなー。