同じ時間を生きる話【鑑賞「パッセンジャー」】

気軽に見て楽しむスペース・オペラでした。

【作品紹介】
90年早く目覚めた2人の壮絶な運命−。映画史に残るスペース・スペクタクル・ロマン。
宇宙で何が起きたのか?
今、世界中の注目を集める話題の2人–ジェニファー・ローレンスxクリス・プラット。
オーロラを演じるのは若手実力派でオスカー女優でもあるジェニファー・ローレンス、ジム役には「ジュラシック・ワールド」他メガヒットを連発するクリス・プラット。「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」でアカデミー賞ノミネートの俊英モルテン・ティルドゥム監督がハリウッドを代表する今最も旬な2大キャストを迎えて、「タイタニック」以来とも言える世紀のスペクタクル・ロマンに挑む。
【ストーリー】
20XX年−。新たなる居住地を目指し、5000人を乗せた豪華宇宙船、アヴァロン号が地球を後にした。目的地の惑星到着まで120年間、冬眠装置で眠る乗客の中でなぜか2人の男女だけが目覚めてしまった。90年も早く−。エンジニアのジムと作家のオーロラは絶望的状況の中でお互いを求め合い、愛し合い、なんとか生きる術を見つけようとするが、予期せぬ出来事が2人の運命を狂わせていく−。

公式ホームページより)

宇宙や宇宙船しか出てこないので見た目こそSFなのだけど、話を追っていて「ロビンソンクルーソー」とか、映画ならトム・ハンクス主演「キャスト・アウェイ」とかを思い出しました。重力装置が故障して急に無重力になるアクシデントの場面はちょっと面白かったかな。プールで泳いでちゃいけませんねー。そういえば「キャスト・アウェイ」のトム・ハンクスも孤独に苦しんでいたなぁ。

ジェニファー・ローレンスは力む時の表情が魅力的でした。

ジムとオーロラが目覚める理由は実は違うのが中盤までポイントになってはいるけれど、まぁ予告編を見て予想される展開通りに話は進んでいきます。つまり本筋は変わらない。危機を乗り越えて2人の間の問題も解決される。その解決されるための(物語上の)工夫が今ひとつだったのが今作が物足りないところ。今起こっている危機がどんなものか、ジムとオーロラはどうあるべきか、わかりやすく提示されすぎなんですね。もちろんこの「工夫」のお陰で先に目覚めたジムの身に何が起こったかオーロラが理解する利点もあるのだけど。

「キャスト・アウェイ」のような「孤島もの」の流れをくむ今作において、2人は今いる場所から絶対に脱出できず、ただただ生きていくだけなのがツラいところ。物語上のクライマックスはエピローグ、ジムがオーロラにある提案をする場面でした。オーロラは予想通りの答えを出すのだけど、そこでもし、反対の答えを出していたら…という思いは鑑賞後も残っております。それはそれでロマンチックなエンディングではなかったかと。でもそれはジム(男側)から見たロマンチックさなのであって、オーロラ(女側)からはそう思えないかもしれませんが。

先述したホームページの作品紹介が「タイタニック」を引き合いに挙げていたのも、そう考えるとあながち的を外してはいないかも。本来の目的を達せられなくても、愛し合う2人は同じ時間を生きるべきか。生死がかかった史実とSFでは同一に語れない面もあります。しかし、無機質な宇宙船内部を延々見せられてきたこの話を締めくくるラストショットには時間の長さを感じました。SFならではの面白さだったかもしれません。