普遍性と個性を考えた話【鑑賞「リアル展」】

宮崎県・高鍋町美術館で2016年11月23日まで開催中の「宮崎アーティストファイル リアル展」を見てきました。

一つのコンセプトに則り作品を選出する「宮崎アーティストファイル」。「ガール展」に続く第2弾となる今回は予想通り(?)男性作家だけの構成でした。しかしテーマを「リアル」とした今回は、様々な写実作品(造形物含む)が並び、なるほど作家の目が何を捉えているのかが興味深い仕立てとなっていました。

 

高鍋美術館、頑張ってますねー
高鍋美術館、頑張ってますねー

そもそも「絵の見方」って学校で習った覚えがない。宗教画とか風景画は見て「綺麗だ」「印象的だ」と感じるのだけど、静物画、肖像画は上手だとは思うけど「なぜこれを描こうと思ったのか」が伝わらなかった。

でも今回の企画展でようやく覚った気がします。純粋に光や色、形、筆使いの妙を楽しめばいいのでは、と。そこに作り手の個性を読み取ればいいのでは、と。

特に今回のゲストアーティスト・永山真策の油彩画は精密でありながら筆使いを全く感じさせない。「写真か?印刷か?」というほどフラットな作品。一方でピントをぼかしたように風景を描いているのもあった。梅下政良の油彩画でもピントを一部分にだけ合わせたような作品や、表情を極端にクローズアップして捉えた大作(迫力!)など、「作り手の感じたリアルとは何か」が様々な形で伝わってくる。

今回も中心は若手の作家たち。彼らを紹介する解説ボードも興味深かった。彼らにとって写実画は「表現の基礎」「ツール」などである一方、素材に感じる形の面白さを伝えようとするなど、作り手たちが今何を感じているのかがよくわかりました。

作り手一人一人の「リアル」はここまで違う。それが個性。ということは、作り手に限らず我々一人一人が持つ「リアル」も一人一人違っているかもしれない。自分の「リアル」の普遍性と個性の境目はどこか。普遍的と思っていたものが実は個性の名の下に歪んではいないか。自分にも問いかけを迫られた展示会でした。