道を貫くのは難しい話【鑑賞「スーサイド・スクワッド」】

「スーパーマンvバットマン ジャスティスの誕生」に続くアメコミ「DCコミックス」のシリーズ映画化第3弾。悪役版「アベンジャーズ」みたいな意欲作ではありました。

<作品紹介>

いま、アメリカで最もバズってる映画−それは「スーサイド・スクワッド」。あの「スターウォーズ」シリーズの新作を上回るソーシャルメディアの盛り上がり様だ。人気の理由は、主役が皆スーパー・ヴィラン(悪党)だから。彼らの戦う理由は【正義のため】【愛する人や世界を守るため】なんかではなく、【自分の刑を軽くしたい】【ただ暴れるのが好き】という超個人的な理由!普通のヒーロー映画の方程式が全く通用しない、掟破りの“悪党たち”が、この秋、スクリーン狭しと暴れまわる!

<ストーリー>

世界崩壊の危機に、政府は、服役中の悪党たちによる特殊部隊“スーサイド・スクワッド”を結成。命令に背いたり、任務に失敗したら自爆装置が作動する、まさにスーサイド(自殺)な状況の中、愛するジョーカーのことしか頭にないハーレイ・クインと、正義感も団結力もない寄せ集めの10人の悪党たちは一体どんな戦いを魅せるのか?

(以上、公式サイトより)

実は劇中、バットマンもチョイ役で登場するんですが、いずれにせよ従来のヒーローが後景に位置する映画は珍しい。「スーパーマンvバットマン ジャスティスの誕生」を受けての話でありながらストーリー的な深みは見せず、本筋と離れた「スピンアウト」的な一本でしょうか。過去作はすべて見ておくべきなシリーズ構成になっているマーベルとは差異化を図ろうという意志は感じられます。

「ハーレイ・クイン」単独作の企画もあるそうで…きになる!
「ハーレイ・クイン」単独作の企画もあるそうで…気になる…

特に女性版ジョーカーとも言えるキャラクター「ハーレイ・クイン」は本作の見どころ。彼女に限らずDCの映画はマーベルと異なり、恋愛がキャラクターの行動原理になっている部分が特徴的だなと今作を見て再認識。マーベルに比べるとやや大人向け、という雰囲気が今作でさらに強まりましたね。

ただそういう視点で見ると、本作の中心人物「デッドショット」が親子愛で行動するのが違和感。彼の周りだけファミリー映画な雰囲気になってしまった。

また全般的に今一つテンポが良くない。今まで映像化されていないキャラばかりなのでアメコミファン以外向けに説明が欲しいのはその通りなのだけど、冒頭で延々と説明されても…ねぇ。

なにより悪役たちが悪役らしく戦う、描写が欲しかった。どうせ主要キャラは「悪役」なんだから、何かしらの「成長」は期待していないわけで。彼らが「目覚める」シチュエーションは不要だったはず。独立愚連隊とも言うべき、勝手気ままに暴れているのに何だか状況を解決してしまった、といったハチャメチャさ、現実にはありえない痛快さを期待していたのだけど。正義が正義を貫くのも大変なんだけど、悪が悪であり続けるのも難しいようで。ちょっともどかしい一本でした。