人生は笑って泣く話【鑑賞「TOO YOUNG TO DIE!」】

地獄が舞台だけど明るく楽しく(?)ちょっとジーンとさせる音楽映画でした。

<作品紹介>

映画『謝罪の王様』や『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」など話題作の脚本を手がけ、日本のエンタテインメント界を牽引する、宮藤官九郎。彼が完全オリジナル作品で、待望の監督最新作の舞台に選んだのは、ズバリ【地獄】。17歳でこの世を去った大助が、大好きなクラスメイトにキスしたい一心で、赤鬼と一緒に地獄からの生還を目指して大奮闘するという、宮藤監督らしいバカバカしくも清々しいストーリー。

大助に地獄の仕組みを教え、彼を導く地獄の赤鬼キラーKを演じるのは、長瀬智也。特殊メイクでみんなの<鬼>像をブチ壊す、超ハイテンションでロックな<赤鬼>に大変身! キラーKが率いる地獄のロックバンド・地獄図が演奏する、映画オリジナル曲にも要注目!
キスもせずに死んじゃった高校生・大助を演じるのは神木隆之介。二枚目のイメージを封印して、地獄で四苦八苦する残念な高校生役で新境地を開拓! 地獄図の一員として、猛特訓したギターの腕前と歌声も披露する! さらに、尾野真千子、森川葵、宮沢りえらの超豪華キャストに加え、驚きの実力派ミュージシャンも多数出演!

迫り来る地獄の責め苦の数々が、笑いの責め苦となって観る者すべてに襲いかかる、世界初!【超絶地獄コメディ】が誕生した!!

<ストーリー>

フツーの高校生・大助は、同級生のひろ美ちゃんのことが大好き。修学旅行中のある日、大助は不慮の事故に遭ってしまう。目覚めるとそこは―深紅に染まった空と炎、ドクロが転がり、人々が責め苦を受ける、ホンモノの【地獄】だった!! なんで俺だけ!? まだキスもしたことないのに、このまま死ぬには若すぎる!!

慌てる大助を待ち受けていたのは、地獄農業高校の軽音楽部顧問で、地獄専属ロックバンド・地獄図を率いる赤鬼のキラーK。
キラーKによると、なんと、えんま様の裁きにより現世に転生するチャンスがあるという!
キラーKの“鬼特訓”のもと、生き返りを賭けた、大助の地獄めぐりが幕を明ける!!!!!

(以上、公式サイトより)

鑑賞中思ったのは「ロッキー・ホラー・ショー」「ブルース・ブラザース」などのおバカ系音楽映画に連なる作品だなぁ、ということ。

今作オリジナルなのは、おバカの感覚が思春期男子中学生的ってことですね(特にエロ方面)。先述2作のバカは大人の味わい。

音楽とギャグをブレンドできるのがクドカンの強みでしょうねー
音楽とギャグをブレンドできるのがクドカンの強みでしょうねー

一方で主人公が死んだところから始まる話にも関わらず、成長(?)や帰還も描かれるのが、エンターテイメントのツボを押さえていてうまいところ。主人公以外の死も描くなどシビアな展開もあり、地獄のシーンで連発されるギャグと対比になった。ギターコードのギャグは最高。笑いも涙もあるのが人生なんだなぁ。

甘い生と死を扱った不条理劇だった処女作「真夜中の弥次さん喜多さん」からすると、ずっと万人受けになっている。でもクドカンの根本の部分は変わっていないなぁ、とも思ったり(特にエロ方面)。

本人が丸くなった、というより、世間とのバランスがうまく取れているように思います。スムージーが飲めるのって幸せですね。おそらく次回作以降もコメディなはず。脚本を手がけたTVドラマ「ゆとりですがなにか」もギャグとグルーヴと真面目な部分のバラスが高いところで保たれた名作でした。クドカンは唯一無二の存在になりつつありますね。次回作も楽しみです。