目に見えないクリエイティブもある話【鑑賞「ピクサー展」】

過日上京の折、東京都現代美術館で2016年3月5日から5月29日まで開催中の「スタジオ設立30周年記念 ピクサー展」を見てきました。

ゾートロープは良かったですよ!
ゾートロープは良かったですよ!

「混雑するに違いない」と気合いを入れて開館間もない時間に行ったら案の定入り口は順番待ちの長い列。しかし見終わって場外に出たら入り口の行列は跡形もなしw。まぁ終了が近づいてくるともっと人が増えるのは間違いないでしょうね。

会場にはピクサーのこれまでの長編・短編作品、第1作「ルクソーJr」から最新作「アーロと少年」まで(えらい!)アートワーク約500点を展示。イメージ画や色味を見るカラー・スクリプト、「トイ・ストーリー」では初期の検討デザインなども展示され、意外とキモいウッディや3頭身のバズなど興味深い資料もありました。暗闇の中で人形が動いて見える「ゾートロープ」も見所でした。グッズ売り場はもう少し広くてもいいんじゃないかなー。

とピクサーの世界を堪能したわけですが、雑誌「WIRED」21号に掲載されたピクサーの最新レポートを読むと、東京都現代美術館では紹介されていなかったピクサーの一面があったと気付いたわけです。

それはストーリー作りについて。ピクサーが「(普遍的な)いい話」を産もうと、主要スタッフ間で討議を積み重ね、現場を調査し、時には監督交代も辞さないほど力を入れている点です。

先述の「WIRED」ではストーリーを練っている資料(画像)として、会議室に貼られたストーリーの要点を記した付箋紙を撮影していた。じゃぁこの付箋紙を東京都現代美術館に展示すればいいかというと…そうじゃないですよねw

ストーリーを生む作業は形に残らない。ストーリー自体もアートワークと同列には展示できない。

創造とは形に残るもの、残らないものがある。ストーリーとはデジタルにも残るのか、アナログにとどまるのか?そんな気づき、問いを得た展覧会&レポートでした。