激烈!単純!しかし細心な話【鑑賞「マッドマックス 怒りのデス・ロード」】

80年代に一世を風靡した伝説のシリーズ「マッドマックス」がグレードアップして帰ってきたぜヒャッハー!!!

最終戦争後の荒廃した世界をひとり生きているマックスは、カリスマ的独裁者イモータン・ジョー率いる武装集団に襲われ、囚われの身になる。折しもイモータン・ジョーの本拠地では、女大隊長フュリオサが若い5人の女たちを引き連れ脱走する。フュリオサを追うイモータン・ジョーたち。共に連れ出されたマックスはフュリオサ追撃の中イモータン・ジョーの一団から脱出し、フュリオサと合流。共に「緑の大地」を目指す…。

パンフレットも気合入ってるぜヒャッハー!
パンフレットも気合入ってるぜヒャッハー!

絶賛の声が多い作品ですが、気になったのは主人公マックスが実は目立たないこと。マックスは主人公というより観客の立場に近い。この点に納得できるか否かは結構大きい気がする。キメてくれるのはマックスの周囲にいるキャラクターで、マックスの視点を通じて観客はこの激烈な映画世界を体験するのだ。

そう激烈。美しく激烈。暴力と破壊の美をこの映画では嫌というほど堪能できる。マックスが囚われ、フュリオサを追うカーチェイスに連れ出され、追い追われる一団が砂嵐に突っ込むまでの序盤でもうお腹いっぱい。文字通り「痛車」と化したトゲだらけの特攻車や改造を施されまくったトラックが砂漠のど真ん中を爆走する。

なんといっても車たちの白眉はネックから火を吹くギターを前面に構えたドラムワゴン。この映画のリアリズムのラインを規定していると言っても過言ではない。ホントに砂漠でサバイバルするなら車を魔改造する必要はないわけで(ISを見よ)、こういった魔改造車を楽しむのが今作の映画的お楽しみなんである。長い棒の上から棒をしならせて襲うなんてもはや曲芸だっての!しかしそれが最高!そしてショットガン婆さんがスーパークールだったということも特筆しておきたい!

ストーリー全体も単純。でありながら、キャラクターの特徴を外見や行動、セリフの端々で手際よく済ませているのは大事なところ。話に無駄がなく、キャラクターの行動に無理がないのだ。

過去作からのビジュアル面でのグレードアップは言うに及ばず、ストーリーも主張・説明しすぎない。映画の醍醐味、面白さをきちんと伝えた快作でした。