正統に挑んでいた話【鑑賞・片岡鶴太郎展「還暦紅」】

タレントの余技と思うと結構痛い目(?)に遭うんですよ…

2015年4月12日までみやざきアートセンターで開催中の片岡鶴太郎展「還暦紅」を見てまいりました。

片岡鶴太郎展「還暦紅」
お笑いタレントの印象がどうしても抜けないんだけど…

画業20年という触れ込みにも「まぁ結構前から絵を描いてたよねこの人」程度で正直ピンときていなかったのだが、実際見たら思ったより正統派な日本画が多くて驚きました。

とくにポスターでもメーンに使われている金魚。繊細な筆使いが実に印象的でした。会場の最後に処女作「家族」があったのだけど、土色で荒々しいタッチの絵からよくもここまで歩まれたものだ。

まぁその処女作も、テレビで披露したら横尾忠則から「僕の作品と交換しよう」と言われたそうなんで、もともと「持っている」人なんでしょうけどね。まさにタレント。

にしても、その生来の才能だけでなく、きちんとそれを生かすため学んできたんだろうな。着物や屏風の柄も本格的なものでした。我流に逃げない、ってのも大事ですね。今から20年、自分も何かを続けたらモノになるのかしら、と職場も変わった年度始めに思ったことでした。

ところでこの展示会、鶴太郎による芸能人の似顔絵を展示した部屋があり、そこにはモデルになった芸能人からのお礼のブツも展示されている。大半は色紙なんだけど、タモリは別の手作り品でお礼を返している。

その品がまた、タモリという人の才人っぷりを示していて驚かされるのです。鶴太郎の作品だけでなく、この品も必見。「持っている」人はやはり違う…!