上京話その2。新宿の東京オペラシティ・アートギャラリーで2015年3月29日まで開催中の「スイスデザイン展」も見てきました。2014年は日本とスイスが国交樹立して150年だったそう。
江戸時代末期・日本とスイスの国交の始まりから現代までをなぞる展示なのだけど、順路の最初では紙幣や観光ポスター、国営として始まった鉄道や航空のデザインなど、匿名性の強い展示物が並ぶ。
匿名でありながら共通しているのが抑制的な色使いと機能美。1944年にスイス人技術者が開発・デザインしたスイス国鉄の鉄道時計は、今でも全く色あせないモダンな製品だ。
スイス生まれのブランドも紹介されている。スウォッチ(腕時計)、ビクトリノックス(ナイフ)、フライターグ(バッグ)などは知っていたけれど、どれもデザイナー個人を前面に押し出したブランドではないのがこれまた共通。この展示会で積極的に紹介していた個人は建築家のル・コルビュジエと、「Die gute Form(ディ・グーテ・フォルム=良い形)」展などを開いてデザインの啓蒙につとめたという芸術家マックス・ビルくらいか。それくらいスイスデザインとは匿名性が強い…しかし完成品の魅力はどれもすばらしいものなのだった。
マックス・ビルは今展で初めて知った。彼の手がけた椅子は時代を超越したシンプルさを保ち、ポスターはちょっとレトロモダン。今すぐ家に飾りたい。
そうそう、パソコンのフォント(字体)に使われるヘルベチカもスイス生まれなんですね。そういったタイポグラフィもスイスで磨かれた、とこの展示会で知った。
シンプルデザインというと、日本だと無印良品が近い気もするが、スイスの製品にはあまり「ナチュラルさ」はない感じ。色を効果的に使って都会的洗練さも感じさせる。テクノロジーを嫌ってはいないのが無印と違うところか。フライターグはトラックの幌の再利用だし、アルミボトルのSIGG(シグ)は第二次大戦後の資源不足の中、工場で残ったアルミを使ったのが誕生のきっかけだそうで。
良いデザイン・良い形は、作り手の名は知らなくても我々のそばに存在する。ブランドや作り手の名にとらわれず、良いものを探さなくちゃ。ということで…
買ってしまいました部品を51個しか使っていないというスウォッチの自動巻き「システム51」!ん〜おしゃれ。気に入った!誰がデザインしたか知らんけど。