楽しいのがちょっと楽しめなかった話【鑑賞・ベイマックス】

中身ふわふわのコロッケを口に入れたつもりが肉汁たっぷりのトンカツだったよ若干腑に落ちないが旨かったね!…とこの映画を評したら、見た人にはわかってもらえるのだろうか…。

「アナと雪の女王」以来の、2014年冬公開のディズニーアニメ映画。見終わっての感想は「『面白い』じゃないか!」でした。

【あらすじ】マイクロロボットを一人で発明した天才少年ヒロは、同じく介護ロボットを開発している大学生の兄を不慮の事故で亡くしてしまう。ふさぎ込む彼の前に現れたのは兄が開発していたロボット「ベイマックス」。ベイマックスによって癒されたヒロは、自分が開発したマイクロロボットが何者かに悪用されようとしていることを知り、ベイマックスとともに真相を探ろうとする。事件の真相、そしてベイマックスに託されていた兄の思いとは…。

ええ、娯楽作品としてきちんと楽しめる作品でしたよ。冬休み中に見たので客席の子供たちはベイマックスのグータッチに爆笑するなどいい雰囲気。白煙を吹き出しながらサンフラントウキョウの空を飛ぶベイマックスのアクションは目を見張った。事件の黒幕も(お約束かもしれないが)意外性を持たせ、残酷さを持たせず解決する。そしてディズニーアニメには珍しく「これは続編の可能性ビンビンにあるな…!」と思わせて終わる。方位的に「楽しませよう」という配慮があった作品でした。

そんな作品な分、日本国内でのこの作品の宣伝の方向性に納得がいかなかったわけで。兄弟愛がメーンのような宣伝だったでしょ。でも明らかにこの映画は(原作通り)ヒーロー誕生譚なわけですよ。スパイダーマンやアイアンマンといったマーベルコミックの流れを汲んだ作品なわけですよ。作品の持っているカラー通り、アクション映画として宣伝しても全く問題ない気がしたんだけど。米国版の宣伝ポスターも検索すればいっぱい出てきますけど、あきらかに「ソッチ方面」だったのに、予告編やNHKのドキュメンタリーを見た限りでは泣かせる系って感じのアピールだった。

確かにじーんとさせる場面もあるんだけど、本編の作り手たちが「ディズニーアニメの新しい可能性を見せたぜ!」って思ってるのかもしれんのに、作り手でない人たちが「ディズニー=感動、泣かせる」とか決めつけてない?見終わって「面白かったんだけど、何か騙された気がする…」というのが正直な感想でした。まぁ次作はさすがに見る側もアクション映画という前提で見るでしょうけど。

ちなみに泣かせるというなら、同時上映の短編「愛犬とごちそう」がガチですw。3Dの体に2D風のテクスチャで描かれる子犬が愛らしいことこの上ない…!